リフロー炉の使い方
リフローとは, ペーストはんだをもちいて表面実装部品をリフロー炉で加熱しはんだ付けする方法のことで, ピッチが狭い部品やはんだごてによるはんだ付けが困難な部品のはんだ付けのためにとる方法です.
ここでは,リフロー炉の使い方をまとめます.
リフローのやり方についてはリフローのやり方 にまとめているのでそちらを見て下さい.
マイスターで使えるリフロー炉
組み込みシステム開発マイスターで使用可能なリフロー炉は,Puhui Electric Technology の T-962(中国語) です.主な特徴は下記の通りです.
型番:T-962
ユーザーマニュアル(英語)
800W 赤外線ヒーター
180mm × 235mmの加工エリア
プリセット4曲線 + 手動設定
中国の会社の製品で,個人的にリフローをする人の間では比較的有名な製品です.インターネット上に数多く記事がありますので,わからないことはインターネットで調べれば,多くの記事を見つけることができます.改造例も多くあり改造用キットの販売もされていますが,マイスターで使えるリフロー炉は,購入した状態の未改造品です.
リフロー炉でのリフローのやり方
既にペーストはんだを塗布して部品を並べた状態になったら,いよいよリフロー炉での過熱を行います.リフローの流はは下の通りで, 人がやるべきことは少ないですが,設定をしっかり確認する必要があります.詳しくは下で説明します.
基板を入れる
加熱曲線を選ぶ
加熱する
リフロー炉のおいてあるツールボックスの最上段の引き出しを開けるとユーザーマニュアルが入っています.
わからなくなったらこのページと合わせてマニュアルも参照してください.
基板を入れる
部品を並べ終えた基板をリフロー炉にセットします.
下側の取っ手を手前に引くと基板を置く部分が出てきます.
リフロー炉には左上に加熱ムラがあります.
置くときは中心から若干左上にずらしておくといいかもしれません.
(画像は中心に合わせておいていますが少しだけ左上に置いた方がうまくいく確率が上がります)
【注意】部品を配置する作業を行っていた場所からリフロー炉への移動は最新の注意が必要です.途中でぶつけたりすると部品がぐちゃぐちゃになり後が大変です(結構な頻度でやります).移動は短距離で済むようにしましょう.最悪の場合はペーストはんだを塗るところからやり直しになります.
また,リフロー炉にセットする際も部品がずれていないかどうか最終確認をしましょう.
電源を入れる
本体裏に赤い電源ボタンがあるのでそれを操作して電源を入れます.
電源を入れて少し待ったあと [S] を押すとメインメニューが出ます.
メインメニューでは [F4] で言語選択ができます. (英語⇔中国語)
基本的に操作は単純です.
[F1] から [F4] と [S] の5つのボタンのみで操作します.
ボタンは若干反応が悪いので少し強めに押さないと反応しません.
(F4だけは感度がよくすぐ反応するようです.)
加熱曲線を選ぶ
メインメニューから [F3] Temp.wave Select で加熱曲線を選びます.
グラフの画面になったら [F1], [F2] で任意の加熱曲線を選択し [F4] で決定します. グラフの画面では [F3] で詳しい説明が見れます.
加熱曲線の選び方は下に詳しく書いておくのでそちらを参照してください.鉛入りの共晶はんだ(63:37)の場合はwave2です.
一部の熱に弱いIC部品などでは,はんだ付け温度や時間が指定がされているものがあります.それらの部品を扱う場合にはデータシートやリファレンスをよく確認してください.
加熱曲線の選び方
ペーストはんだの材料比によって適した熱曲線を選択します.T-962での熱曲線ごとのはんだの比は下の通りです.
wave1:Sn 85/Pb 15, Sn 70/Pb 30
wave2:Sn 63/Pb 37, Sn 60/Pb 40
wave3:Sn/Ag 3.5, Sn/Cu75, 0, 25, 75, x:4:0.5
wave4:Sn:Ag:Cu:Sb x:2.5:0.8:0.5,
wave5:Heraeus PD955M(SMD用接着剤)用
wave6,7,8:PCB修正(その他)
wave7,8は自分で波形を設定
加熱曲線選び方(ユーザマニュアルより引用)
加熱する
基板を乗せたトレーがしっかりしまっていることを確認してください.
基板に熱を加えることによってはんだを溶かしてはんだ付けします.
[F1] Temp.wave AutoExe を押してスタートします.
間違えた場合は [S] で中止できます.
加熱中は焦げたような異臭がすることがありますが, これは本体内部の紙テープ?が加熱されてする匂いなので問題ありません.
普通に臭いので換気するか部屋から出ておくとよいです.
加熱中は小窓などから中の様子が確認できます.
はんだが融けて部品がほんの少し移動するのが見られます.
出来上がり
スタートしてから7分前後で完了し,ブザーが鳴ります.
ブザーが鳴った後も急に冷却されることを防ぐために1分程度はそのままにしておくことをお勧めします.
取り出す際は, 本体が熱くなりすぎていないことを確認してから扉を開けて取り出します.出来上がった直後の基板はまだ熱いので, 扉を開けてから少し放置して取り出すとよいでしょう.
取り出したら出来上がった基板に不良がないか確認します.以降の手順はリフローのやり方 に書いてありますのでそちらを参照してください.