レーザー加工機の使い方

レーザー加工機を使用すると,MDFやアクリル板などを自由な形にカットできるほか,文字やイラストなどを焼きこむことができます.ここでは,レーザー加工機で加工したい場合のデータの作成方法や依頼方法についてまとめます.

マイスターで所有しているレーザー加工機

組み込みシステム開発マイスターで所有しているレーザー加工機は,SMART DIYsが販売する FABOOL Laser DS です.主な仕様は下記の通りです.

  • 80W CO2レーザー

  • 1050mm × 630mmの加工エリア

  • アクリル板や木材であれば厚さ10mmまでカット可能(カタログ上はもう少しいけます)

  • 木材(MDF),アクリル,紙,布,革,プラスチックはカットできます.金属はどんなに薄くてもカットできません.

加工データの作成方法(Inkscapeを使用する場合)

加工は主に3種類に分かれます.

  • ベクタ加工(カット)・・・加工データの形に材料をカットする

  • ベクタ加工(塗り)・・・加工データの形にレーザでべた塗りをする

  • ラスタ加工・・・写真やイラストなど濃淡のある画像を材料に彫刻する

ベクタ加工のデータはドローソフトなどを使用して作成したベクタデータ(SVG形式)が必要です.ラスタ加工のデータは画像データ(JPEGやPNG)が必要です.

基本的には,IllustratorやInkscapeなどのドローソフトを使用するのが便利ですが,SolidworksやFusion360などの3D CADソフトでモデルを作成して,2次元のデータとして出力することもできます.ここでは無料で利用できるInkscapeを使用して説明します.

まず,Inkscape上で加工データを作成してください.

この時,同じ色のデータは同じグループとして扱われます.例えば,右のデータの場合,ラスタ加工(カット)したい部分は黒のラインで描き,ラスタ加工(塗り)で加工したい部分は赤で描きました.


加工データが作成できたら,テキスト部分をパス(図形)に変換してください.この作業をアウトライン化と呼びます.これによりフォントに依存しないデータになりますが,アウトライン化した後はテキストデータとして編集することができません.必要に応じてアウトライン化する前のデータも保存しておくことをお勧めします.なお,アウトライン化はレーザー加工機用のデータだけではなく,業者に印刷する際にも必要な処理です.


最後に,作成したデータをSVG形式で保存してください.

仕上がりのことを考えると,ラスタ加工(塗り)の部分は,枠をつけておくときれいに仕上がります.右は,文字の部分に青で枠をつけてあります.

右は,最終的な加工結果です.ラスタ加工(塗り)の部分は,ハッチングという処理で刻印されます.右はハッチングの間隔を0.1mm,出力10%に設定しました.もっと粗くてよければ,0.3mmや0.5mmでもOKです.また,レーザーの出力や速度によって濃さなどの加工結果は変わります.

右は,ハッチングの間隔を0.5mmにして,出力を20%にしました.加工が荒くなり,文字が濃くなったことがわかります.

加工データの作成方法(3D CADソフトなどを使用する場合)

SolidworksやFusion360などの3D CADソフトを使用して加工データを作成する場合は,DXF形式で出力してください.ただし,DXF形式は方言も多いので,DXF形式からSVG形式に変換したほうがうまくいくことが多いようです.

加工後の処理について

レーザー加工機でMDFをカットすると,どうしてもヤニや焦げが付着します.完璧には除去できませんが,下記のような処理である程度は除去できます.

  • 水(ぬるま湯)で絞った雑巾で拭く

  • アルコールやウェットティッシュで拭く

  • サンドペーパーで磨く

また,加工前に,表面にマスキングテープを張ってから加工するとヤニや焦げの付着を抑えられるようです.